慢性胃炎・ヘリコバクター・ピロリ感染症

ヘリコバクター・ピロリ菌とは

ヘリコバクター・ピロリ菌とは一般的にはピロリ菌と呼ばれていて、口から侵入して強酸の胃に住み着くことができる細菌です。ピロリ菌感染は胃・十二指腸潰瘍、胃がんの原因であることがわかっていて、それ以外のさまざまな疾患発症や悪化にも大きく関与されていることが次々と指摘されています。関与が報告されているのは、胃過形成ポリープ、萎縮性胃炎、鳥肌状胃炎などです。萎縮性胃炎や鳥肌状胃炎は胃がんのリスクが高い状態です。また、悪性リンパ腫の前段階である胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、鉄欠乏性貧血、免疫疾患、皮膚疾患などの発症にも関わっていると考えられています。
衛生状態の良い先進国ではピロリ菌の感染者数が少ないのですが、日本での感染率は減少傾向にあるもののまだ高い状態です。感染していても除菌治療を成功させることでピロリ菌を消失させることができます。慢性胃炎と診断された場合、ピロリ菌検査、除菌治療が健康保険適用になります。
慢性胃炎や潰瘍がある、両親などの家族に胃がんの方がいるなど胃がんのリスクが高い方は感染している可能性がありますので、早めに検査を受けるようにしてください。ピロリ菌はヒトからヒトへ経口感染して、ほとんどの感染は幼少期に起こると考えられているため、子どもを持つ前に除菌に成功することで次世代への感染予防にもつながります。こうしたことから、ピロリ菌の除菌治療を「胃がんワクチン」ととらえることもできます。

ヘリコバクター・ピロリ菌の検査方法

尿素呼気検査

呼気(吐き出した息)を採取して調べる検査です。除菌治療の成功判定で用いる場合は保険適用となります。判定検査は正確な結果を知るために除菌治療後4~8週目に行うことが日本ピロリ菌学会でも推奨されており、当院では3ヶ月後に行っています。正確な結果を得るためには、検査を受ける時間帯も重要だとされているため、当院では午前のタイミングでの検査を行っています。検査は20分ほどで終わります。

抗体法・抗原法

安価で手軽に受けられますが、信頼性が十分ではないためスクリーニング検査として行われています。血液や尿の採取による抗体測定、便の採取による抗原測定があります。便の抗原測定は信頼性の高い検査ですが、ピロリ菌の死んだ菌に対しても陽性結果が出ます。当院では尿素呼気検査などが困難な小児や高齢者で推奨しています。

胃カメラによるピロリ菌の検査

  • 迅速ウレアーゼ法
     組織を採取して行う検査です
  • 培養法
     組織を採取し、培養で増殖させて検査します
  • 鏡顕法
     組織を採取し、染色して顕微鏡で観察する検査です

ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌方法

ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌方法ピロリ菌感染の有無を調べる検査と、除菌治療は保険適用で受けることができますが、それにはいくつかの条件があります。こうした条件は改正されることがあり、ピロリ菌の感染検査や除菌治療に関しても平成25年2月に保険診療適用拡大されています。
ただし、除菌治療は必ず成功するものではなく、除菌成功まで複数回の除菌治療が必要になるケースもあります。1回目の除菌治療に成功しなかった方も、2回目の除菌治療を受けた場合ほとんどの方が除菌に成功できると報告されています。3回目以上の除菌治療で成功することもありますが、3回目の除菌治療は保険適用されず自費診療になります。

保健診療の対象となる方

保健診療の対象となる方胃カメラ検査で胃・十二指腸潰瘍や慢性胃炎の診断を受けた方はピロリ菌の感染検査を保険適用で受けられます。さらに検査でピロリ菌感染が陽性になった場合には、除菌治療を保険適用で受けることができます。

他施設の人間ドックなどで胃カメラを受けた方の場合

そこで慢性胃炎の診断をされた方で、それが6か月以内であれば、当院でのピロリ菌検査が保険適用されます。検査でピロリ菌感染陽性が出た場合には、除菌治療を保険適用で受けることができます。また6ヶ月以内の胃カメラ検査で慢性胃炎と診断され、何らかの検査でピロリ菌感染陽性が出ている場合も、除菌治療を保険適用で受けられます。

他の医療機関でピロリ菌の除菌に失敗した方

6か月以内に胃カメラ検査を受けている場合は、当院で2回目の除菌治療を保険適用で受けられます。ただし、3回目以降の除菌治療は保険適用されません。

自費診療になるケース

2回までの除菌治療(二次除菌)が失敗し、3回目以降の除菌治療を希望される方
血液や尿、便を採取して行うスクリーニング検査でピロリ菌感染が指摘され、胃カメラ検査を受けたくない方

ご注意

除菌治療や抗生剤を用いた治療でじんましんや湿疹が現れたことがある場合、薬剤アレルギーの可能性が高いと考えられます。まれに重篤な症状を現す可能性がありますので、薬剤アレルギーを発症したことがある、あるいはその可能性がる場合には必ず事前にご相談ください。

ピロリ菌感染がある場合、自覚症状がまったくない場合でも早期胃がんが発生している可能性があります。発見には胃カメラ検査が有効ですから、疾患など胃カメラ検査が受けられない理由がない場合には、胃カメラ検査を受けるようおすすめしています。当院では無痛の胃カメラ検査を受けることができます。

除菌治療の流れ

step 1

2種類の抗生剤、そして胃酸分泌を抑制して抗生剤の効果を現れやすくするPPIを1週間服用します。食後に内服することが望ましいですが、食事をしなくても、1日2回(朝・夕)、だいたい決まった時間に内服するようにして下さい。飲み忘れは除菌の失敗の原因にもなりますし、飲み忘れの後に2回分を合わせて内服することも、副作用のリスクを上げますので、決して行わないようにしてください。
副作用には、下痢(約13%)、味覚異常(約30%)、肝機能障害(約3%)、じんましん(約5%)などがあります。皮膚の湿疹やじんましんなどアレルギー症状が現れた場合には服用を中止してすぐにご連絡ください。

step 2

1回目の除菌治療の後、判定検査が必要です。服用終了後、約3ヶ月が経過してから、尿素呼気検査による判定検査を行っています。

step 3

判定検査で成功しなかった場合、2回目の除菌治療が可能です。
2回目の除菌治療では、1種類の抗生剤を変更して、後は1回目と同様の治療と判定検査を行います。

step 4

2回目の判定検査も服用から約3ヶ月後に尿素呼気テストにより行います。1回目・2回目の除菌治療を合わせた成功率は97~98%と報告されています。2~3%の方は失敗しますが、その場合も3回目の除菌治療は可能です。ただし、3回目以降の除菌治療は自費診療になります。

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